興味深い発表がありました。造血幹細胞の増殖ができるようになるかもしれないというものです。MDSや白血病の治療法の一つとして、造血幹細胞移植がありますが、応用が可能になるかもしれません。
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東京大学の中内啓光教授らは骨髄移植に使う細胞を大量に増やす方法を開発した。血清などに替わる新たな培養成分を突き止め、血液のもとを作る造血幹細胞の数を最大約1000倍に増殖できる。マウスの実験で移植に使えることを確かめた。将来は、白血病患者などの治療を後押しできると期待している。研究成果の詳細が30日、英科学誌ネイチャー(電子版)に掲載された。
人にも応用ができれば造血幹細胞移植へのハードルが下がるかもしれません。まだマウス実験の段階で、まだまだ先の話でしょうけど期待が高まります。
臍帯血移植の適用範囲拡大
臍帯血移植は、出産の際にへその緒などから採取された造血幹細胞を冷凍保存しておき移植するものですが、少量しか取れないため体の大きな大人への移植ができない場合があります。そういった場合でも、造血幹細胞の増殖ができれば、増殖してから移植するという方法が可能になるかもしれません。
ドナーの負担軽減
特に骨髄移植の場合にはドナー(骨髄提供者)も全身麻酔などのリスクがあります。造血幹細胞は血液中にも含まれますので、採血だけで移植が可能になればドナーのリスクはほとんどなくなりますし、入院なども必要なくなります。
自己移植の適用範囲拡大
正常な造血幹細胞が残されている場合、それを培養して増やして移植するという方法が可能になるかもしれません。自己移植であれば移植後の障害(GVHD)がなく、治療成績の向上が見込めます。